君だけが好き!
 


私が目を覚まして、始めに目に入ったのは真っ白な天井。

その次に、聡の顔。

「直斗!」

「聡……?ここ、どこ?」

「ここは、俺の親父が経営してる病院だよ。だから、ゆっくり安心して休め」

聡のお父さん、病院なんてやってたんだ。

……って、そうじゃなくて。

「お母さんは……?」

「あー、それは……」

聡が歯切れが悪そうに、答えた。

「俺の親父、精神科もやってて……、それでその、直斗のお母さんも一応診察してる、っていうか」

「……………そう」

「うん……」

お母さんはきっと、入院するんだろうな。

「それでさ、直斗、これからどうする?」

「これから、って何のこと?」

「直斗のお母さん、もしかしたら入院かもしれないだろ?そしたらさ、直斗一人じゃねーか」

聡は優しいね。

病院まで手配してくれて、こんなに私のことを心配してくれている。

あのときも、私のことを気にかけていてくれたのかもしれない。

やっぱりあの焦げ茶色の髪は、聡だったんだね。

「私は、お父さんに連絡してみるよ。もしかしたら、私の面倒を見てくれるかもしれないし」

「……うちの親父が、よかったら一緒に住まないかって。俺も、それがいいと思うんだ!」

……ありがとう。

「え、泣くなって!」

私は、心の中でそう呟いて、たくさん泣いた。


 
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