君だけが好き!
高校入学します
歯磨きもしたし洗顔もした。
よし、これで準備万端。
聡からのメールは、家に迎えに行くから待ってろ、というものだった。
いつもは私が迎えに行ってるので、なんだか新鮮。
そうこうしているうちに、インターホンが鳴った。
「おはよう、聡!」
聡に抱きつく勢いで、家を飛び出した。
「おう、おはよう」
笑顔でそれをかわす聡。
「かわすなんて、ひどいな」
「飛び出してきたら普通かわすだろ……」
「私は聡が飛び出してきたら抱き止めるけどね!」
「ドヤ顔しながら言うな」
ペシ、と頭をはたかれる。
「にゃはは~。……それにしても、聡が迎えに来るなんて珍しいね。今日は槍が降るのかな?」
「失礼なやつだな。今日は入学式だから、迎えに来てやったんだよ」
こんなに憎まれ口をたたいていても、聡のことを好きな気持ちは変わらない。
聡はきっと、気づいてないだろうけど。
「……そういやさ、直斗のお父さんは元気にしてんのか?」
「へ、お父さん?……うーん、元気なんじゃない?」
お母さんが入院したあの日、お父さんに連絡したら、簡単に私を引き取ってくれた。
しかも、あちらから私の家に来てくれた。
私が高校生になった今は、また転勤でどこかに行ってしまったけれど。
「そっか。寂しくなったら、いつでもウチに来いよ!一家総出で大歓迎だからな!」
「ふふ……そっか、ありがとう。じゃあ、近いうちにお邪魔させてもらおうかな」