君だけが好き!
 


くだらない話で盛り上がりながら、まだ慣れない通学路を二人で歩く。

説明会や入試で来ただけだったからね。

中学生のときもそうだったけど、二人きりでこうして歩いていられるなんて、私は幸福者だな。

「直斗、顔がニヤついてる。あと、着いたぞ」

いつの間に。

「聡と同じクラスだったらいいな~」

「そうだな。直斗と同じクラスだったら、退屈しなさそうだ」

歯を見せて、爽やかに彼が笑う。

駄目だよ、聡。

こんなに人がいっぱいいる中で、そんな笑顔をしちゃ。

みんなが聡に夢中になっちゃったら、私、そいつらを殺しちゃうかもしれない。

「ほら、直斗。あそこにクラス表が出てるぞ」

「ほんとだね…………あ、見つけたよ!聡の名前!…私も一緒!同じクラス!聡と同じクラスだよバンザーイ!」

私は興奮しすぎて、本当に万歳してしまう。

だって、聡と同じクラスだよ?

嬉しい嬉しい嬉しい!

「もう一回。バンザーイ!」

「恥ずかしいからやめろー!」


 
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