君だけが好き!
私と聡は、これから一年間お世話になる教室へ向かう。
去年も聡と同じクラスだったから、これで二年連続。
「ねえ、聡?私ね、聡と同じ高校を受験してよかったよ!」
そう言うと、聡は、少し照れたようにこう言ってくれた。
「俺も、直斗と同じ高校に通えて嬉しい」
教室に着くと、黒板に席順が貼り出されていた。
聡は『き』で、私は『や』……。
「聡!どうして聡は廊下側の後ろから二番目で、私が窓側の一番後ろなの!」
私と聡の席は見事にかけ離れていた。
「早く席替えしたい……」
「まあまあ。席が離れたからって、仲が悪くなるわけじゃないんだしさ」
ポンポン、と優しく頭に触れる大きくて温かい手。
「……うん、そうだね」
私はとても幸せな気持ちで自分の席についた。
聡を見ると、私と同じように一人で席に座って、ボーッとしている。
それを見て少し、安心した。
彼を見ていいのは、彼の隣にいていいのは、私だけでいい。