君だけが好き!
振り返った聡の動きはとてもぎこちなくて。
「……ううん、なんでもない!」
こんなに可愛い聡が見れたんだから、まあいいか、なんて思った。
「とりあえず、家まで送るから」
「うん、ありがと!」
なんかアレだね、聡がこれだけ照れてくれるから、私は逆に落ち着いてきちゃった。
聡はいまだに照れていて、ずっと前を見続けている。
好きな人と歩く帰り道が、好きな人と笑いあうことが、こんなにも世界をキラキラさせるなんて、思いもしなかった。
本当に私は、幸福者だ。
「もう、着くな。直斗ん家」
「そうだね。……………着いちゃったね」
私が幸せな気持ちに浸っていると、いつの間にか私の家の前だった。
「じゃあ、また明日な」
ニカッと白い歯を見せて笑う彼は、とても魅力的で。
告白されてから初めて見る聡の笑顔は、もう何年も会えなかった彼とやっと会えて不意打ちに笑顔攻撃(そんなの経験したことないけど)されたぐらいの威力があった。
「うん、また明日。明日からも、私が迎えに行ってあげるからね」
「おう、待ってる!」
じゃ、と手を振って、聡は背を向ける。
「そ、聡!」
「ん?」
どうして聡の名前を呼んだんだろう。
離れたくない、とか?
「あの、その」
どうしよう名前を呼んだはいいけど、何を言えばいいのか……。
……そうだ、お礼!
「好きになってくれて、ありがとう!」