君だけが好き!
 


「う、ん……分かった」

まるで安心させるように微笑む彼を見ていると、思わず頷いてしまった。

「じゃ、先に教室入っててくれる?」

そう言われて、また頷く私。

去り際に頭をくしゃっとされて、聡はパツ男と歩いて行った。

「……はー」

聡のいない教室が、こんなに色褪せて見えるなんて知らなかった。

面白くない。

聡は私の彼氏で彼女で、とにかく私の大事な人なのに。

確かにあのパツ男には私と聡が付き合い始めたことは知らせてないし知らせる必要もないけど、なんだか面白くない。

聡も聡だよ。

私と付き合ってるのに、どうしてわざわざパツ男の告白なんて聞きに行くんだろ。

まあ、ちゃんと話しを聞いてあげるっていうその優しさも、聡の好きなとこの一つだけどさ。

……ちゃんと、断ってくれるよね?

もしかして、私への告白は遊びでパツ男が本命とか、そんなのないよね?

そうなったら、私が聡の目を覚まさせてあげないと。

まずはパツ男の弱みをどうにかして握ってそれを聡に突きつけて、聡がショックで声も出ないところを私が慰めてそして聡は目を覚ますんだ、うん。

『直斗、俺が間違ってた。俺がもうどこにも行かないように、首輪で縛ってて……』って甘えた声で私に囁いて獣耳のオプション付きであああっ!

私はどうしても妄想を止められず、ヨダレも知らず知らずのうちに垂れてくる。

でも、そのヨダレをいつも拭いてくれていた彼は、私の隣にはいなかった。

「……聡」

パツ男の告白なんて、断ってくれるよね……?


 
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