君だけが好き!
~聡side~
金髪の爽やかイケメン風な男に連れていかれたのは、あまり人の来ない屋上。
もとから人の来ない屋上は、朝だということもあって人っ子一人いなかった。
「で、俺に話しって?」
コイツの名前、なんだったかなあ……。
とにかく、金髪男(略してパツ男)は振り向いて口を開いた。
「北岡くんに聞いてほしいことがあって」
なんだよ気持ち悪ぃ。
「好きなんだ」
「へ?……って、はぁ!?」
好き?俺のことが?
パツ男の目を見ても、少しの迷いも感じられない。
待てよ、だってパツ男が好きなのは……。
「山田くんのことが」
「やっぱりな」
パツ男が直斗のことを気にしてるのは、前からなんとなく気づいてた。
まあ、男の勘ってやつだ。
「山田くんはすごく可愛いよね。僕さ、小学校のときから山田くんのことが好きだったんだ」
小学校のときから?
小学校にこんな奴いたっけ?
「だから山田くんのことはなんでも知ってる。もちろん、家の事情のこともね」
「変な探り入れてんじゃねーよ」
「ふふ、誤解だよ。僕はこの目で見たんだ。山田くんが母親に暴力を受けているところをね」
見てた?コイツが?どうやって?
「とにかく、僕は君には負けないよ。山田くんを絶対に僕のモノにしてみせる」
「ハッ。おあいにくだな。俺は直斗ともう付き合ってる」
そう言うと、パツ男は「そう」と呟いて屋上を後にした。