君だけが好き!
 


もう一時間目が終わってしまった。

聡ってば、何をしてるんだろう。

パツ男もまだ返ってこないし。

パツ男はどうでもいいとして、聡は早退でもしたのかな、なんて思っていると、聡からメールが入ってきた。

『調子悪いから屋上で寝てる。放課後になったら呼びに来て』

聡が授業をサボるなんて珍しい。

「はいはい、了解……っと」

まだ一時間目が終わったところなのに、どう時間を潰す気なんだろう。

寝るってそんなに寝れるわけ……あ、聡なら寝れるか。

放っておいたら、休みの日なんて一日中眠りこけてるしね。

昼休みにでも屋上に行こうかとも思ったが、やめておく。

聡が授業をサボるときは、決まって機嫌が悪いときだからだ。

「聡がいない学校なんて、つまんないよー……」

「山田くんは北岡くんのことが大好きなんだね」

一人で呟いたつもりだったのに返事が返ってきたから、私は少し驚く。

「やあ」なんて軽い挨拶をしながら、自然に私の横の席に座ったのはパツ男だった。

「あの、何かご用ですか」

「北岡くんから伝言を預かってきたから、それを伝えようと思って」

「聡から……?」

どうして私に直接言ってこないんだろう?

「うん。大事な話があるから、学校が終わったらすぐ家に来てほしいって」

大事な話?

それは、私に別れを告げるとか、そういった類いの大事な話?

「でも、聡が放課後になったら屋上に呼びに来てって……」

「ああ、それを打ったのは僕。北岡くんにケータイを借りてね。僕が告白したのに山田くんのことばかり気にするからさ……。少し、意地悪したくなったんだ」

なんだ、そうなんだ……。

聡は、パツ男の告白を断ってくれたんだ。


 

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