君だけが好き!
 


「痛い…よ……お母さん、ごめんなさ…い……」

お母さんは私をたくさん叩いた。

「ごめんなさい……」

何度謝っても、許してくれない。

今日は相当機嫌が悪そうだ。

「大丈夫だよ」

そう言って気まぐれに私を抱き締める男の人は、いったい誰なのか。

「僕は聡。君をずっと守るからね」

聡。ソウ。

とても大事な人の名前だった気がする。

でももう、何も分からない。

一つ分かるのは、私が聡のことを大好きだということ。

「僕はね、直斗の大好きな恋人だよ」

直斗……、私の名前は、直斗。

「ほら、大丈夫。直斗は僕だけを見ていればいいからね」

そう言う彼の顔を見ると、何か大事なものを抱き締めるときのような、そんな目が金髪のサラサラした髪の間から見えた。

「そ…う……」

「うん」

「私は、聡が、好き」

そうだ。

彼はいつもこうして私を守ってくれていたんだ。

「僕も直斗のことが大好きだよ」

聡の言葉が、私の心を溶かしていく。

そうして私たちは、優しい優しい口づけをした。


 
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