君だけが好き!
 


「直斗!お前…何して……」

私が聡と話していると、"誰か"が声をかけてきた。

まったく、聡との時間を邪魔しないでほしいな。

「あの、なんですか?」

そう言うと、"誰か"はひどく悲しそうな顔をする。

「どうしてそいつと仲良さそうに話してんだよ……?」

どうしてって、仲がいいからに決まってるじゃん。

ていうか、この人はなんなの?

聡を見ると、不思議そうな顔をして私を見返す。

「私たち今忙しいんです。だからお引き取り願えますか」

「な……んで……」



見ると"誰か"は涙を流していた。

「……聡、この人、なんで泣いてるの?」

「さあ?僕には分からないな」

聡も分かってないみたいだし、放っておいて大丈夫かな。

これが聡の泣き顔なら萌えるのに……。

綺麗な瞳から、次々に涙が流れ落ちる。

……綺麗?この"誰か"の瞳が?

違う、私はこの"誰か"を知っているんだ。

「ねえ、聡。私、この人のこと知ってる」

「そりゃあ、同じクラスだからね」

違う。

それだけじゃない。


 
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