オノマトペ
「たぶん、クッキーだと思います。夕べ焼いていたので」
「ほう? お前の妹は菓子作りをするのか」
龍娘の眠そうな目が、ぱちりと開いた。
確かに、箱からは甘い香りが漂っている。朝食を食べていない彼女の空腹をぐりぐりと刺激してくる甘美なるかほりだ。
「ご指導いただいた後にでも、どうぞ」
「うむ」
そう返事をしながら、ちょっぴり嬉しそうにピンクのリボンを解き、もう食べる気満々の完璧超人。
「なんだよ拓斗、俺にはねぇのかよ」
後ろから龍太郎が不満げな声をあげる。
「あ、龍太郎君の分ももちろんあるよ。終わったら一緒に──」
拓斗がそう言いかけたとき。
ぱぁーん、と。
小気味良い音が辺りに鳴り響いた。
驚いて振り向くと、龍娘の持っている箱から、舌を出したピエロがびょーんと飛び出していた。
飛び散った色とりどりの紙ふぶきが、目を丸くしている龍娘の頭に、やけに静かに降り注ぐ。
「ほう? お前の妹は菓子作りをするのか」
龍娘の眠そうな目が、ぱちりと開いた。
確かに、箱からは甘い香りが漂っている。朝食を食べていない彼女の空腹をぐりぐりと刺激してくる甘美なるかほりだ。
「ご指導いただいた後にでも、どうぞ」
「うむ」
そう返事をしながら、ちょっぴり嬉しそうにピンクのリボンを解き、もう食べる気満々の完璧超人。
「なんだよ拓斗、俺にはねぇのかよ」
後ろから龍太郎が不満げな声をあげる。
「あ、龍太郎君の分ももちろんあるよ。終わったら一緒に──」
拓斗がそう言いかけたとき。
ぱぁーん、と。
小気味良い音が辺りに鳴り響いた。
驚いて振り向くと、龍娘の持っている箱から、舌を出したピエロがびょーんと飛び出していた。
飛び散った色とりどりの紙ふぶきが、目を丸くしている龍娘の頭に、やけに静かに降り注ぐ。