オノマトペ
懐かしい夢を見た。
ぼんやりとした明かりがいくつも灯る闇の中を、誰かと手を繋いで歩いていく夢だ。
賑やかな囃子がわんわんと響き、闇の中に白い狐面や赤い風車の色がぬっ、と浮かびあがっては静かに通り過ぎ、そしてまた、何もない闇の中に消えてゆく。
怖いことはない。
むしろ心は躍っていた。
雪菜の小さな手をすっぽりと包み込んでくれる大きな手が、とても温かかったから。
見上げれば微笑み返してくれる、優しい顔があったから。
だから何も怖いことはなかった。
けれどその顔も、もう、ぼんやりとしか見えなくて。
名を呼んでくれる穏やかな声も、雪菜の耳には捉えきれなくて。
どんどん、どんどん、形にならなくなっていく。
優しい思い出は、記憶の海にゆらりと揺れて、闇に溶けて。
掴んでも掴んでも、砂のように零れ落ちていくばかり。
目にも映らず、耳にも届かず、ただ淡い光となって、頭の中から消えて失くなる。
ぼんやりとした明かりがいくつも灯る闇の中を、誰かと手を繋いで歩いていく夢だ。
賑やかな囃子がわんわんと響き、闇の中に白い狐面や赤い風車の色がぬっ、と浮かびあがっては静かに通り過ぎ、そしてまた、何もない闇の中に消えてゆく。
怖いことはない。
むしろ心は躍っていた。
雪菜の小さな手をすっぽりと包み込んでくれる大きな手が、とても温かかったから。
見上げれば微笑み返してくれる、優しい顔があったから。
だから何も怖いことはなかった。
けれどその顔も、もう、ぼんやりとしか見えなくて。
名を呼んでくれる穏やかな声も、雪菜の耳には捉えきれなくて。
どんどん、どんどん、形にならなくなっていく。
優しい思い出は、記憶の海にゆらりと揺れて、闇に溶けて。
掴んでも掴んでも、砂のように零れ落ちていくばかり。
目にも映らず、耳にも届かず、ただ淡い光となって、頭の中から消えて失くなる。