オノマトペ
分厚い雲の隙間から幾筋もの光が降り注ぐ、雨上がりの静かな並木通り。
その景色に溶け込むように佇む、こじんまりとした喫茶店のドアが開き、カランカランとベルが鳴った。
「いらっしゃい」
カウンターでグラスを拭きながら出迎えたマスターに、軽く微笑みかけながら頭を下げるのは、バイオリンケースを持った和音。
窓際の空いている席に促され、慣れた様子で歩いていく彼の後ろを、大量のエコバックと紙袋を抱えた鷹雅が、きょろきょろと視線を動かしながらついていく。
「おっ、“珈琲”の匂いがするぞ」
鼻をひくつかせながら鷹雅が呟く。
「マスターの淹れてくれるコーヒーは美味しいよ。飲んでみるかい?」
「いや、珈琲は苦くて好きじゃない。匂いは悪くねぇけどな」
「じゃあ、なにか甘いものを頼もうか」
年季の入った艶やかなダークブラウンのテーブルにつき、和音はバイオリーンケースを床に置く。
鷹雅も持っていた買い物袋をどさどさと床に置いて、ガタガタ音をたてながら椅子を引いた。
その景色に溶け込むように佇む、こじんまりとした喫茶店のドアが開き、カランカランとベルが鳴った。
「いらっしゃい」
カウンターでグラスを拭きながら出迎えたマスターに、軽く微笑みかけながら頭を下げるのは、バイオリンケースを持った和音。
窓際の空いている席に促され、慣れた様子で歩いていく彼の後ろを、大量のエコバックと紙袋を抱えた鷹雅が、きょろきょろと視線を動かしながらついていく。
「おっ、“珈琲”の匂いがするぞ」
鼻をひくつかせながら鷹雅が呟く。
「マスターの淹れてくれるコーヒーは美味しいよ。飲んでみるかい?」
「いや、珈琲は苦くて好きじゃない。匂いは悪くねぇけどな」
「じゃあ、なにか甘いものを頼もうか」
年季の入った艶やかなダークブラウンのテーブルにつき、和音はバイオリーンケースを床に置く。
鷹雅も持っていた買い物袋をどさどさと床に置いて、ガタガタ音をたてながら椅子を引いた。