オノマトペ
「なんだ、知り合いがいるのか」

椅子に片腕をかけ、だらりと姿勢を崩した格好で鷹雅が訊く。

「僕と同じ三年で、浦沢薊さんというんだけれどね。あのマスターの娘さんで、凄く綺麗な女の子だよ」

「ふーん」

美人がいると言っても鷹雅は興味なさそうだ。適当に相槌を打ち、偉そうに足を組む。

それを気にすることなく、和音は話を続けた。

「でも彼女とここで逢うには、花音を連れてこないと駄目だね」

「なんで」

「彼女は美少女好きだからね。男には興味がないんだ」

鷹雅、ぱちくりと目を開ける。

「なんだそりゃ。あれか、“ふじょし”ってヤツか」

「ははは、そうじゃないよ。ただ、彼女は美女や美少女を愛しているんだね。花音が中学生の頃に初めて連れてきたんだけど、そのときの薊さんの反応はかわいらしかったな」

「ああ、頬染めたり?」

「いや、大量に鼻血を噴き出してひっくり返ってしまってね。女の子に萌えを感じると鼻血が出てしまうらしいよ」

ふふ、と和音は微笑ましそうに笑う。

いや、微笑ましく笑うところじゃないと思うんですが、と鷹雅は胡乱な目。

< 118 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop