オノマトペ
「天神って、変なヤツが多いよなー」

鷹雅の脳裏には、ハイテンションメガマックス女子をはじめ、かわいい女子を見ると身体に変調をきたす幽霊や、最強ほにゃほにゃラブリー女子など、クラスメイトたちの顔が浮かんだ。

もちろん、目の前にいるキラキラな美少年も、校内校外問わずバイオリンを弾き語る変人だ。

その弟は極悪軍団の舎弟だし、妹はデカイウサギのぬいぐるみで腹話術をするし。

まともな人間、または人外など、片手で足りるくらいしかいないのではないだろうか……。


そんな風に考えているところへ、マスターがトレイにシトラスティーを乗せてやってきた。

目の前に置かれた透明なカップに鼻を近づけ、くんくんと鼻をひくつかせる鷹雅。

「なんだこりゃあ。蜜柑が入ってるぞ」

「レモン、ライム、オレンジなんかが入っているんだよ。いい香りだろう?」

細くて長い指で透明なカップを持ち上げ、一口お茶を飲む和音を見てから、鷹雅もぐいーっとシトラスティーを飲み干す。途端に、目がきらきらと輝きだした。

しかしすぐにそっぽを向いて、眉間に皺を寄せる。

「ま、まぁ、悪くない味だ」

「それは良かった」

微笑みながら、和音はマスターにおかわりをお願いする。


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