オノマトペ
すぐに運ばれてきたシトラスティーのカップを手にし、輪切りにされたオレンジを見て目を輝かせる鷹雅を見て、和音はふっと笑みを零す。

「僕からすれば、人間の学校に妖怪が通っていることも、十分に変わっていることだと思うけどね」

「あぁん? そりゃ、あれだ。人間がどんなもんか知らねぇと、馬鹿にして従属するフリをしてやればいいのか、それとも力ずくで押さえつけてやればいいのか分かんねぇだろ。そのための下見だ」

そんなことを言いながら、お茶の上に浮かぶオレンジの輪切りを指でつまみ上げ、あむあむとかぶり付き、一瞬だけにこぉ~っと笑う鷹雅。

「そうかい。じゃあ来週もまた、街を案内してあげようか」

「お前がそうしたいんならそうしろよ。俺は別にどっちでもいいんだからな。……ま、お前には飯の世話になってるし、また荷物持ちしてやってもいい、けどよー……」

口を尖らせながらそう言い、またぐいーっとシトラスティーを飲む鷹雅の横顔は、少しだけ照れた顔だ。

「ありがとう」

まるで弟を見るような優しい顔で、和音は礼を言った。



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