オノマトペ
二時間目の休み時間。

少し小腹の空いた拓斗は、鞄の中から小さなお弁当箱を取り出した。

龍太郎に憧れて一緒に修業を始めてからというもの、お腹がすいて仕方ないのだ。

音楽家だって馬鹿には出来ないくらい体力を使うのだが、やはり格闘家とは比べるべくもない。

それに気づいた和音が、

「身体を鍛えるには良質のたんぱく質が必要だねぇ~」

と、朝から和牛フィレステーキをメインにした、フランス料理フルコースを作ってくれるようになった。

若奥様御用達、真っ白フリフリエプロンを身につけ、鼻歌を歌いながら楽しそうに作ってくれるので、朝からこんなに食べれないよ、なんて言うことも出来ず、頑張って食べていた。

そうしたら最近は、それをぺろりと食べてしまうようになって。

それでも足りなくて、授業の合間にお弁当、昼は龍太郎と一緒に学食へ行くのが日課となったのだった。

(そのうち、龍太郎くんみたいにかっこよくなれるかなぁ)

食堂ではイスカンダル盛りな龍太郎。

あれくらい食べれば、男らしく勇ましい龍太郎のようになれるに違いない、と拓斗は目をキラキラさせる。

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