オノマトペ
そんな日を夢見て、拓斗はお弁当箱の蓋を開けた。
開けて、固まった。
中身が、ファンシーモンキーベイベーな五所川原キャラ弁だった。
お弁当はいつも和音が作ってくれていたはずだが。どうやら今日は違ったらしい。
(花音~!)
心の中で妹の名を叫びながらお弁当の蓋を勢いよく閉めた。
拓斗は兄や妹とは違い、フツーの感性の持ち主なので。
キャラ弁は恥ずかしい。
恥ずかしいんである。
その日の夕方。
家に帰ると花音がキラッキラした瞳で拓斗に駆け寄ってきた。
「拓ちゃん、拓ちゃん、お弁当、どうだった? おいしかった?」
巨大ぬいぐるみ五所川原の後ろから、期待のこもった目でそう言われ。
男子たちにはからかわれ、女子たちからはかわいい、かわいいと騒ぎ立てられ、ものっ凄く恥ずかしい思いをしながらもちゃんと食べきった苦い思い出が蘇った。
「……うん、すごくおいしかったよ。花音らしい、かわいいお弁当だったね」
優しくそう言ってやると、花音は五所川原を抱きしめながら大喜び。
そんなかわいい妹に、そっと『男子が食べたいお弁当特集』なる本を差し出す拓斗だった……。
◆
橘家の両親は海外へ演奏旅行でほとんど家におりません。
故に、和音が料理、裁縫担当。
拓斗が掃除、洗濯担当。
花音が兄ズ手伝い。
開けて、固まった。
中身が、ファンシーモンキーベイベーな五所川原キャラ弁だった。
お弁当はいつも和音が作ってくれていたはずだが。どうやら今日は違ったらしい。
(花音~!)
心の中で妹の名を叫びながらお弁当の蓋を勢いよく閉めた。
拓斗は兄や妹とは違い、フツーの感性の持ち主なので。
キャラ弁は恥ずかしい。
恥ずかしいんである。
その日の夕方。
家に帰ると花音がキラッキラした瞳で拓斗に駆け寄ってきた。
「拓ちゃん、拓ちゃん、お弁当、どうだった? おいしかった?」
巨大ぬいぐるみ五所川原の後ろから、期待のこもった目でそう言われ。
男子たちにはからかわれ、女子たちからはかわいい、かわいいと騒ぎ立てられ、ものっ凄く恥ずかしい思いをしながらもちゃんと食べきった苦い思い出が蘇った。
「……うん、すごくおいしかったよ。花音らしい、かわいいお弁当だったね」
優しくそう言ってやると、花音は五所川原を抱きしめながら大喜び。
そんなかわいい妹に、そっと『男子が食べたいお弁当特集』なる本を差し出す拓斗だった……。
◆
橘家の両親は海外へ演奏旅行でほとんど家におりません。
故に、和音が料理、裁縫担当。
拓斗が掃除、洗濯担当。
花音が兄ズ手伝い。