オノマトペ
そこに和音の声も割って入る。

「ふふ、それに、善くんからは今日文を受け取ったばかりではないのかい? そんなにすぐ返してしまっては善くんも大変だろう」

花音と拓斗が振り返ると、真っ黒な鎧に身を包んだ何者かが、広い階段を軽やかに下りてくるところだった。

フルフェイスの黒い兜には、金に光る二本の角。

身体には黒い胸当て。

足は歩くたびにガシャガシャ鳴るブーツ。

全体的に金のラインで模様が描かれており、極めつけはバサリと翻る黒いマントだ。腰にはレイピアも挿してある。

胡乱な目でそれを見つめた後、拓斗は確認のために声をかけた。

「……………兄さん?」

「なんだい?」

黒甲冑の者から聞こえてきたのは、紛れもなく長男和音の声。

「その格好は何?」

「ああ、実は同級生に貧乏すぎて制服やジャージしか持っていないという哀れな闇騎士がいてね……。それでこれをプレゼントしようと思って作ってみたんだ。……動きやすさに問題はないようだし、次に会ったときにでも渡そうかな」

ポイントは蝙蝠の羽に見立てたマントの襟だよ、とくるりと一回転してみせる和音。

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