オノマトペ
それから律花は和音に近づき、面妖な格好の息子を見上げた。

「なぁにその格好。仮装大会でもあるの?」

「いや、友人にプレゼントしようと思って作ったんだよ」

「手作りなの!? 相変わらず器用な子ねぇ。拓斗は……」

今度は拓斗の方へと行き、じっと見上げて。

「あら? あらあらあら? ちょっと拓、何このいい感じの日焼けは。そしてなぁに、このいい感じの筋肉は」

と、前から後ろから抱き着いてペタペタと触りだした。

「わああ、母さん、ちょっと!」

「中国拳法部で頑張っているのね。ちょっと見ない間にすっかり男らしくなっちゃって~。いいわよ、いいわよ、その調子で頑張るのよっ」

存分に息子の身体を触りまくった律花は、今度は花音のところへ。

花音よりも少しだけ身長の高い律花は、よしよしと娘の頭を撫でた。

「花音はちゃんとお兄ちゃんたちの言うことを聞いていい子にしていたかしら? 学校は楽しい? また迷子になったりしていない?」

「私もう高校生なんだよっ。子どもじゃないんだよっ」

ぷくぅ、と色の良い頬を膨らませる花音。

しかし和音も拓斗も苦笑いだ。

ゴールデンウィークに迷子になるわ、夜中まで学園にいて拓斗を待っているわで、兄たちばかりでなく家人にまで心配をかけまくった一学期であったから。

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