オノマトペ
そんな風に思っていると、和音と拓斗、2人同時に後ろから羽交い絞めにされた。

「なんで避けるんだ愛しの子どもたちよおおお~! さあ、ただいまのチューをするぞっ!」

「遠慮するよ」

拓斗は胡乱な目で、和音は優雅に微笑みながら、片手で父の顔をぐいーっと遠ざける。

「奏一郎さん、人が嫌がることはしないのっ」

律花はめっ、と夫を叱った後、頭を撫でている娘の持つ封筒に気づいた。

「……あら? あらあらあら?」

ピンクの封筒に顔を近づけ、宛名の名前をじいっと見た律花は首を傾げた。

「夕城さんって……体育の先生かしら?」

その母の問いに、花音は頬を赤らめ、もじもじしながら答える。

「ううん、先生の夕城さんじゃないよぅ……閻魔先生のお師匠様の息子さんでぇ……私のダーリンなのぉ……」

「……ダーリン!?」

律花は丸い目を大きく見開いた。

「まあまあ、彼氏? 彼氏なのねっ? どんな子? しっかりしてる子? 頼りがいのある子っ?」

物凄い勢いで捲くし立てる律花。

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