オノマトペ
「ひ、ひどい……おとうさん、ひどいようっ……」
悲しみのあまり、幼児並みに呂律が回らない花音。
時間はそんなにかけていない。
しかし、早く会いたいとチビッ子剣士の顔を思い浮かべながら一生懸命書いた便箋10枚分もの想いが、大好きな父の手によって捨てられてしまった。
「いや、花音、違うんだ、今のはね、お父さんはお手紙を預かろうと思って、間違ってぽーんってやっちゃっただけなんだよ、ほら花音、拾ってあげるから、ね、ね? ほら大丈夫!」
慌ててピンクの封筒を拾い、手渡そうとすると。
花音はぽろぽろ涙を流しながら奏一郎を睨みつけ──いつも通り、ちっとも怖くない愛らしい瞳ではあるが、恐らく花音の人生で最大の睨みだったであろう──ピンクの封筒を奪い取った。
「おとーさんなんかきらいだもっ! だいっきらいだも────!!!!」
娘の言葉が鋭い刃となり、父の心臓を直撃した。
父、奏一郎。
真っ白に燃え尽きて灰になる。
悲しみのあまり、幼児並みに呂律が回らない花音。
時間はそんなにかけていない。
しかし、早く会いたいとチビッ子剣士の顔を思い浮かべながら一生懸命書いた便箋10枚分もの想いが、大好きな父の手によって捨てられてしまった。
「いや、花音、違うんだ、今のはね、お父さんはお手紙を預かろうと思って、間違ってぽーんってやっちゃっただけなんだよ、ほら花音、拾ってあげるから、ね、ね? ほら大丈夫!」
慌ててピンクの封筒を拾い、手渡そうとすると。
花音はぽろぽろ涙を流しながら奏一郎を睨みつけ──いつも通り、ちっとも怖くない愛らしい瞳ではあるが、恐らく花音の人生で最大の睨みだったであろう──ピンクの封筒を奪い取った。
「おとーさんなんかきらいだもっ! だいっきらいだも────!!!!」
娘の言葉が鋭い刃となり、父の心臓を直撃した。
父、奏一郎。
真っ白に燃え尽きて灰になる。