オノマトペ
肩口まで伸ばした蒼い髪、透き通るような白い肌、宝石のような瞳をしたセクシーダイナマイツ美少女、アリスカ。

春麗らかな日差しの降り注ぐ廊下を歩いていた彼女は、妙な歌が近づいてくるのに気づいた。

「愛に惑い、愛に喜び、そして愛に生きる慈愛の天使、アリスカ~」

……変なのがきた。

アリスカは胡乱な目で振り返る。

バイオリンの美しい音色を響かせながら廊下を歩いてくるのは、ブレザーの制服を原型がなくなるほどピラピラのフリフリに改造した男子生徒だ。

サラサラの黒髪をした美少年、その名は橘和音。通称バイオリン兄。

「やぁアリスカ。今日の君の瞳は一段と輝いているね。愛し愛される女性というものは、どんな女神にも勝る美しさだ」

「その恥ずかしい台詞やめてよ」

「ところでアリスカ」

「人の話を聞け」

「いつになったら僕と煌めく友情デュエットをしてくれるんだい?」

和音はアリスカの手にあるバイオリンケースに目をやった。

彼はまだアリスカをバイオリン奏者だと勘違いしていた。


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