オノマトペ
まだまだ暑い日は続いていたが、青空にある太陽が低くなったので、少しずつ季節は動いているのだと、そう感じられるようになっていたある日の出来事。


はらはらと、色とりどりの花弁が舞う中で目を開けた『勇者』フェイレイは、腕の中の『姫』、リディルに目をやった。

彼女の閉じられている瞳に慌て、白い頬に手を添えながら声をかける。

「リディル……リディル、大丈夫?」

そっと囁きかけると、すぐに長い睫が震えた。

「……フェイ?」

現れた翡翠色の瞳にほっと胸を撫で下ろし、笑顔を見せるフェイレイ。

「うん。大丈夫? 痛いとこ、ない?」

「……平気」

まだ眠そうな瞳をしたリディルは、ゆっくりと辺りを見回した。

蹲るようにしている地面は、ふかふかとした緑色の芝生。

辺りに咲き誇る木々や草花も、空から降り注ぐ太陽の光を受けて、実に生き生きと輝いている。

更に視線を動かしたその先に。

人がいた。

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