オノマトペ
「和音、何度も言うけど、私はバイオリンは弾かない……」
アリスカが説明しようとすると、和音は憂いを含んだ瞳を窓の外へ向けた。
「哀しいな、アリスカ。入学してからもう二年、こんなに熱烈にアプローチをしているというのに。君の心はもう眼鏡男子のことでいっぱいで、音楽<ぼく>への関心など微塵もないというのか……」
「誤解を招く言い方しないでよっ」
周囲の目を気にしながら嗜めるも、和音は聞いちゃいない。
「この学園には音楽を嗜む者があまりいなくて、寂しい思いをしていた僕の前にふわりと舞い降りた異国の美しい天使……いつか君と(音を)絡ませあうのが夢だった……」
「だからそのいかがわしい言い方をやめろー!」
アリスカは手にしていたバイオリンケースで、和音の頭を思い切り殴りつけた。
吹っ飛んだ和音は窓ガラスに突っ込み、がしゃーんと派手に割ってしまった。
小岩井さん、仕事を増やしてごめんなさい。
「……君の愛の鞭は痛い」
どくどくと頭から血を流しながら、和音は哀しげに言う。
「愛の鞭じゃないっ!」
ああもう、とアリスカはバイオリンケースを開けた。
アリスカが説明しようとすると、和音は憂いを含んだ瞳を窓の外へ向けた。
「哀しいな、アリスカ。入学してからもう二年、こんなに熱烈にアプローチをしているというのに。君の心はもう眼鏡男子のことでいっぱいで、音楽<ぼく>への関心など微塵もないというのか……」
「誤解を招く言い方しないでよっ」
周囲の目を気にしながら嗜めるも、和音は聞いちゃいない。
「この学園には音楽を嗜む者があまりいなくて、寂しい思いをしていた僕の前にふわりと舞い降りた異国の美しい天使……いつか君と(音を)絡ませあうのが夢だった……」
「だからそのいかがわしい言い方をやめろー!」
アリスカは手にしていたバイオリンケースで、和音の頭を思い切り殴りつけた。
吹っ飛んだ和音は窓ガラスに突っ込み、がしゃーんと派手に割ってしまった。
小岩井さん、仕事を増やしてごめんなさい。
「……君の愛の鞭は痛い」
どくどくと頭から血を流しながら、和音は哀しげに言う。
「愛の鞭じゃないっ!」
ああもう、とアリスカはバイオリンケースを開けた。