オノマトペ
「え？」

言われて改めて見回した庭は、確かに荒れていた。

ふかふかの芝生はところどころがめくり上がり、美しい桃色の花を咲かせたオールドローズたちが根こそぎ倒れ、東屋から飛んだらしいテーブルと椅子が遠くに転がっていた。

目の前に立つ鷹雅も、かわいい顔をした少年拓斗も、髪がぼうぼうに乱れ、おまけに拓斗の額には何かで切ったような痕があり、血が流れていた。

「不法侵入、っていうんだぞ。なんなら、今すぐぶっとばしてやるけどな。人間のクセに、妙な“気”持ちやがって」

鷹雅は怒りの表情で、ばさりと黒い翼を広げた。

それを見たフェイレイは、さっとリディルを背に庇う。

「魔族……!?」

「あ？　誰が魔族だ。妖怪だ。大妖怪鴉天狗様、だよ！」

と、黒い羽から黒刃の日本刀を召還する。

鷹雅は普段偉そうだし短気だが、特に戦闘好きというわけではない。むしろ鴉天狗の中では穏やかな方だろう。

けれどいきなりこうして刀を抜いたのは、フェイレイが尋常でない気を放っていたのと、普段お世話になっている橘家の面々に傷をつけたからだ。

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