オノマトペ
「拓斗は出ねぇの?」

「僕は出ないつもりだよ」

拓斗は顔を上げ、微笑む。

「黒帯取れたんだろ? 実力試すにゃいい機会じゃねぇか」

「僕なんかまだまだだよ。来年までもっと修行を積んで……老師から許可を貰えるくらいになったら考えようと思ってるんだ。……今年はじっくり観戦したいしね」

にこり、と微笑む彼の隣で、花音もやけに嬉しそうに微笑んでいる。

テーブルの上に並んでいるメニューはハンバーグ。

花音が嬉しいことがあったときに食べたくなるメニューだ。

「もうすぐ会えるんだもーん」

ぎゅっと黒ウサギのぬいぐるみ『さぶちゃん』を抱きしめて、頬を染める花音。



タイマントーナメント。

出場する者も、そうでない者も。

非常に楽しみなイベントだ。



< 194 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop