オノマトペ
「今日もいい天気になりそうだな」

まだ朝霧が立ち込めてはいるが、白い空を見上げてフェイレイが言う。

「そうですね」

頷くと、フェイレイは拓斗とは別の方を向いて、「おはよー!」と挨拶をした。

フェイレイがにこやかな笑顔を向ける先には、木々に囲まれた小さな泉があった。

そのまま飲めるくらいに綺麗な清水が湧き出ているのだ。

「あの子は泉の精霊かな。綺麗な水色の子」

「……いえ、僕には見えないので分かりませんが……」

「あ、そうか、そうだっけ」

言いながら、フェイレイはまた別の方に向かって手を振る。

精霊の見えない拓斗からすれば、なんとも奇妙な光景である。

「んじゃあ、今日も競争するか!」

「はいっ」

元気にそう言うフェイレイに、拓斗も負けじと大きな声で返事をする。

「よーい……どんっ!」

フェイレイの声で、2人は同時に全力疾走を始める。

しかし。

「は、速い……!」

フェイレイの背中はあっという間に見えなくなってしまった。

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