オノマトペ
魔族退治を請け負うギルドというところで、幼い頃から日々鍛錬を積み重ねていたとは聞いているが……走るだけでそのスピードの違いが一目瞭然。

元々運動神経も悪くなかった拓斗は、決して遅くはない。

日々の修行で体力もつき、庭を一周走ったくらいでは疲れなくなってきたというのに。

全力疾走してもまだ追いつくことが出来ない。

「きょ、今日こそはと思ったのに……」

いつも一緒に鍛錬しているスペシャルバカの強さにも舌を巻くが、フェイレイのスピードにも敵わない。

修行を始めて約8ヶ月。

まだまだ武道家としては初心者レベルの拓斗が、幼い頃から鍛錬を積んでいるスペシャルバカやフェイレイに、一朝一夕に追いつくことの方が無理だということは理解している。

一歩一歩、着実に進んでいければ良いのだと、普段は思っているのだけれど。

それでも時々、途方もなく高い壁を前に、立ち竦んでしまいたくなるときが、ある。



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