オノマトペ
朝食後、息抜きをしようと、ヴァイオリンを持って庭へ出た。
秋晴れの爽やかな空気と、柔らかな太陽の光の心地よさに目を細めながら、薔薇に囲まれた園で穏やかな曲調のものを選んで奏でる。
暖かな日差しに包まれ、爽やかな風に吹かれ。
そんな中で音楽を奏でれば、いつも迷いなど吹き飛んでいくのだけれども。
今日はなんだか集中出来ない。
ヴァイオリンを弾いているのに、頭の中は修行のことばかりだ。
始めたばかりの頃はろくに組手も出来なかったのに、最近ではようやく形になってきた。
老師から黒帯を許され、その色に歓喜もした。
確実に前へは進めている。大丈夫だ。
ああ、だけど……だけど。
いつになったら。
迷いは音に出る。
穏やかな曲を選んでいるはずなのに、拓斗の音色を聴いて揺れる薔薇たちが哀しげに囁いているような気がして、途中で演奏を止めた。
重い溜息を零したところで、コツ、と靴音がした。
薔薇園の煉瓦敷きの道を、誰かがやってくる。
秋晴れの爽やかな空気と、柔らかな太陽の光の心地よさに目を細めながら、薔薇に囲まれた園で穏やかな曲調のものを選んで奏でる。
暖かな日差しに包まれ、爽やかな風に吹かれ。
そんな中で音楽を奏でれば、いつも迷いなど吹き飛んでいくのだけれども。
今日はなんだか集中出来ない。
ヴァイオリンを弾いているのに、頭の中は修行のことばかりだ。
始めたばかりの頃はろくに組手も出来なかったのに、最近ではようやく形になってきた。
老師から黒帯を許され、その色に歓喜もした。
確実に前へは進めている。大丈夫だ。
ああ、だけど……だけど。
いつになったら。
迷いは音に出る。
穏やかな曲を選んでいるはずなのに、拓斗の音色を聴いて揺れる薔薇たちが哀しげに囁いているような気がして、途中で演奏を止めた。
重い溜息を零したところで、コツ、と靴音がした。
薔薇園の煉瓦敷きの道を、誰かがやってくる。