オノマトペ
リディルの誕生日だなんて聞いてないよ、である。

誕生日にこんな殴ったり蹴ったりしてしまったのか、僕は。

拓斗は青くなってあわあわ。

「す、すみません、そんな大切な日に、僕……!」

謝る拓斗に、リディルは首を振る。

「……私の誕生会の準備するからって、追い出されてたの。……そうしたら拓斗が相手してくれて……楽しかったよ?」

リディルは無表情にこてん、と首を傾げる。

「パーティのこともさっき決まったばかりだから。気にすんなって」

フェイレイも笑う。

「僕、準備を手伝ってきます!」

ベンチに置いたスマホを掴み、だっと駆け出す拓斗。

途中、顔をしかめながら腹を押さえるのは、先程リディルの掌底を食らったからか。

リディルがすっと右手を挙げると、掌の中に丸くて白い光が浮かび上がった。

それは白い指先を離れ、風の中をすい、と泳いでいき、拓斗の身体を包み込んだ。

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