オノマトペ
リディルの白い頬がみるみる赤く染まっていく。

舐められた手をぱっと引き寄せ、赤くなった頬を隠すように、俯き加減に歩き出す。

「あれ、リディルー?」

フェイレイはそれを追いかけて、隣に並んで歩く。

「ケーキ、リディルの好きなフルーツいっぱいなヤツにしてもらったからな」

「……そう」

「なんだか凄いご馳走も作ってもらったよ。あと、花音がヴァイオリン弾いてくれるってさ」

「……ふうん」

フェイレイが喋り、リディルが言葉少なに返す、という会話をしばらく続けていると、ダイニングの窓が見えた。

そこでは、先に戻った拓斗がもう着替えを済ませて料理を並べるのを手伝っていた。

「なぁ、拓斗って凄いな。まだ始めて8ヶ月なんだろ?」

「……そう言ってたよ」

「まだ伸びるな。凄い素質がある」

顔を輝かせながらそう言うフェイレイを見て、リディルも微かに笑う。

「そうだね」

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