オノマトペ
それを両手に持ってずんずんチビっ子剣士に近づいた花音は。

ぐい、と。

無言で小箱を差し出した。

「……これは?」

剣士君の問いに、花音はぎゅっと唇を引き結んで、彼の腹に小箱を押し付けた。

「……お返事」

「……?」

「待ってる、から……」

それだけ言って、小箱から手を離す。

転がり落ちそうになるそれを、剣士君は慌てて受け止めた。

それを見届けないうちに、花音は自分の席に戻って五所川原をぎゅうっと抱きしめながら席についた。

白くてふわふわの五所川原の頭の上に、ぱたりぱたりと涙が落ちていく。


それは、怒りから覚めた涙。

ごめんね、の涙。

そして、もう一度逢えて良かった、の涙。


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