オノマトペ
「新婚旅行?」

ぱしゃり、と湯を白い肩にかけながら、リディルは聞き返す。

「うん。まあ、これも旅行って言えば旅行なのかもしれないけど……」

チラ、と背後を見やれば、恋人同士で背中を流し合う微笑ましい光景がある。

前を向けば、元気良く泳ぎ回る生徒の姿も。

なんとも微笑ましい、平和そのものの光景だ。

自分たちのいた場所とは違う別の世界を、面白おかしく旅をしているのだと。そう思えば思える状況だ。

「でも、ちゃんと連れてってやるからな」

「……別に、いいよ。今も楽しいから」

「連れてくの。リディルと思い出いっぱい作るんだから」

と、右手を湯の中から上げて、リディルの左小指と指切りをする。

そうして約束を交わした後、その薬指に嵌っているシルバーの結婚指輪を見て、軽く溜息をついた。

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