オノマトペ
拓斗は視線だけを下にやり、カゴの中にあるヒモビキニを震えながら見た。

……所詮、拓斗は『フリフリウサさんパンティ』止まりなのだ。ヒモビキニの世界は未踏の地なのである。

目の前にあるコレを、一体どうしたら良いものか。

てか、これ花音の?

花音のなの?

拓斗の頭の中は真っ白になる。

と、そこへ和音がやってきた。

「拓斗、すまない、これも……」

白いハンカチを手にサニタリールームへやってきた和音は、青いんだか赤いんだかよく分からない顔色の弟を見て口をつぐんだ。

そして、視線を下ろし。

ヒモビキニを目撃した。

「……」

「……」

長いような短いような沈黙が流れた後、和音はカゴの中のヒモビキニをつまみあげた。

それを目の高さまで持ち上げ、顎に手をやって真剣な顔つきでしばらく考えた後。

視線を拓斗へ向けた。

「赤飯を炊くべきかな?」

「違うだろ!」


珍しい、拓斗のフルスイングツッコミが炸裂した。







温泉旅行を元に、それぞれを書いてみました。

最後の拓斗のお話は、某所で書いたものの修正版です。

ヒモビキニはヒャッハ○さんの私物です、きっと。



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