オノマトペ
「ようするに、異性のどの部分に魅力を感じるか……ということかな」

にこりと微笑んで、和音はまた説明した。

「ふーん。じゃあ、和音は?」

「僕かい? 僕は……そうだな。『指』、かな」

「指?」

「例えば……」

と、ソーサーから白いカップを持ち上げる和音。

その指は持ち手の穴に指を通さず、指をそろえて美しく、つまむように持ち上げられている。

「こんな風にティーカップを持ち上げるときとか、何気なく物を掴んだり……手紙の封を切ったり、本をめくったりするとき。そういう指の所作が美しい人にはドキリとさせられるね」

「バイオリンの弦の押さえ方とか、指の運び方とかもね」

拓斗も『指』には同意見らしく、そう口を挟む。

「そうだね。弦楽器をやっていると指先に豆が出来たり、タコが出来たりしてしまうのだけれど、それだけ弾き込んでいるんだと思うと尊敬もするし。そういう意味でも指は重要かな」

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