オノマトペ
大概の人はお休みであろう、日曜日の朝。

軽いノイズ音とともに、蓄音機から優雅なクラシック音楽が流れ出した。

山の向こうからゆっくりと陽が昇り、あたたかな光に覆われていく街並みが目の前に広がっていく。

そんな素晴らしい一日の始まりへの期待と、希望に満ち溢れた爽やかな曲調。

「……今朝はペールギュントか」

天蓋つきのベッドから身を起こした和音は、長めの前髪をかき上げながら、優雅な音楽の流れる蓄音機へと目をやった。

古ぼけた大きなそれの前にいるのは、中肉中背の初老の男。

和音専属執事、西坂である。

蓄音機に目覚まし代わりのレコードをセットした西坂は、腕を両脇にぴたりとつけ、直立不動の姿勢からすっと頭を下げた。

「おはようございます和音様。お時間でございます」

「うん、おはよう。毎朝早くにすまないね」

「とんでもない」

頭を戻した西坂はゆるりと首を横に振った。


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