オノマトペ
その直後、和音は音を止めた。
誰かが部屋の中に入ってきたことに気づいたわけではなかった。
“音の響き方が変わった”
そのことに気づいたのだ。
「……おや」
額に汗を光らせながら振り返ると、良い香りのするマフィンとブランデーミルクが目に留まった。
ふっと笑みを零して、トレイのカップへ手を伸ばす。そこにウサギの形のメモ帳が添えられていた。
『お兄ちゃん、いつもありがとう。それから、あんまり無理しないでね』
これはかわいらしい丸文字。
『これ飲んだら寝るんだよ』
こちらは模範となるような綺麗な字。
「大丈夫だよ」
和音は微笑んでカップを口につける。
こうやって気遣ってくれて、ありがとうと言ってくれるから。
だから、頑張れるのだ。
◇
和音のシャコンヌは、オスカー・シュムスキーの重厚感溢れる演奏がイメージです。
誰かが部屋の中に入ってきたことに気づいたわけではなかった。
“音の響き方が変わった”
そのことに気づいたのだ。
「……おや」
額に汗を光らせながら振り返ると、良い香りのするマフィンとブランデーミルクが目に留まった。
ふっと笑みを零して、トレイのカップへ手を伸ばす。そこにウサギの形のメモ帳が添えられていた。
『お兄ちゃん、いつもありがとう。それから、あんまり無理しないでね』
これはかわいらしい丸文字。
『これ飲んだら寝るんだよ』
こちらは模範となるような綺麗な字。
「大丈夫だよ」
和音は微笑んでカップを口につける。
こうやって気遣ってくれて、ありがとうと言ってくれるから。
だから、頑張れるのだ。
◇
和音のシャコンヌは、オスカー・シュムスキーの重厚感溢れる演奏がイメージです。