オノマトペ
放課後、陽が沈むまで龍太郎と一緒に『腹だし爆睡部(という名の中国拳法部)』にて、完璧超人の指導を受けていた拓斗は、ほどよい疲労感に包まれながら、空手着から制服に着替える。

くるくると畳んだ裾にうささんアップリケのつけられた空手着は、その努力を表すかのように少しくたびれてきた。

努力は裏切らない。

その言葉を体現するかのように、拓斗はメキメキと成長していた。

彼の瞳は、いつか龍太郎に追いつくという、高い目標をまっすぐに見つめている。

「もっと頑張ろう」

昨日より今日、今日より明日。

少しずつ、確実に前に進むことをイメージしながら昇降口へ向かっていると。

ばったりと、花音と雪菜に出会った。

「あ、拓ちゃん……」

相変わらず大きなうさぎのぬいぐるみ五所川原を抱えた花音は、その大きな頭でささっと顔を隠した。

それを少し不思議に思っていると、雪菜に声をかけられた。

「拓斗君はこんな時間まで龍太郎君と修業してるんですね。お疲れ様です」

「あ、うん。雪菜ちゃん……と花音は、こんな時間までどうしたの?」

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