オノマトペ
しばらくそんなやり取りが続いて、和音はすっと立ち上がった。

本当は咽び泣きたいほど痛かったけれど、かわいい妹に心配の涙を流させてはいけない。

いつものキラキラな笑顔を見せながら、バイオリンを弾き語った。

「ひゃひゃひゃ、せんせんなんともないしゃ~♪」

……顎、外れているようですよ。





「一体何をやってるの」

騒ぎを聞き、お風呂掃除途中で駆けつけてきた拓斗は、呆れながら和音に氷嚢を渡した。

それを礼を言いながら受け取り、先程南原が座っていた椅子に腰掛けた和音は、ピンクの五線譜ノートをパラパラと眺めた。

花音が机に向かって、一生懸命に書いていたものである。

実は花音、オーケストラの作曲、および編曲にチャレンジしていた。

「随分と変調が多いね」

「これは兄さんでも難しいんじゃないの?」

和音の横からノートを覗き込み、拓斗。

「ここは閻魔様と女神様の闘うところだから、畳み掛けるように激しく、情熱的に、ぐわーっと盛り上げたいの」

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