オノマトペ
五所川原の腕をぶんぶん振りながら、花音は説明する。

「ああ、物語になっているんだね、成る程」

頷きながら、和音は更に譜面を読み込んでいく。

「なかなか面白いよ。さしずめ、叶わぬ恋をするロミオとジュリエット、ってところかな。……ああ、最後はハッピーエンドだろうけどね」

「ほんと? そう思う?」

和音に褒められて、花音は嬉しそうに五所川原を抱きしめる。

「お兄ちゃん、お願いがあるんだけど……今、弦楽器パートやってるんだけどね、第一バイオリンのとこ、ちょっと弾いてみてくれないかなぁ? 私、第二やるから。実際に弾いてみないとイメージが掴めなくて……」

「ああ、いいよ」

ふたつ返事で快諾してくれた兄に、五所川原の腕がパタパタと揺れる。

そして視線は拓斗へ。

「拓ちゃんは、チェロ……」

「……仕方ないなぁ」

拓斗も溜息をつきながらも承知する。

五所川原の耳が更に揺れた。

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