オノマトペ
「ハゲってゆーな、つるッパゲが!」

「おめぇもだっつってんだよ馬鹿息子!」

ドスドスと高下駄で蹴り合いの喧嘩をする父と息子。

そこに、別の声が割って入る。

「まったく……いい年こいて、子どもみてぇな喧嘩してんじゃねぇよ……」

声の主は、鷹雅の祖父。

太陽の光をピカリンと反射する、威厳のある高尚のような姿をしている。

「……」

鷹雅と父は、その姿を無言で見つめる。


アレはイヤだ。

絶対イヤだ。

せめて一本でも髪を残したい。


父との喧嘩をやめて、鷹雅は風呂に入った。

そして念入りにシャンプーをする。

皮膚の余分な汚れは抜け毛を増進させる。丁寧に丁寧に、決して力を入れすぎず、指の腹で優しくマッサージしてやるのだ。

シャンプーの成分だって、天然成分のものでなくてはいけないのだ。

トリートメントも大事だが、まずはシャンプー。ここに一番重点を置かなくてはならない。

おかげで鷹雅の黒髪はさらっさらである。

てっぺん以外は。

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