オノマトペ
「誰だよ、知らねぇよ。半妖のヤツだよ」

鷹雅は可憐な白い着物姿の少女が懸命に追いかけてくる姿を思い出し、ぞくぞくと頭が寒くなった。

「あの雪ん子か」

遠い昔を思い出し、孔雀パパはブルリと身を震わせた。

ちょっとおいたをしたばかりに……恐ろしい目に遭ったあの日のことは、未だに夢に見るくらいトラウマになっている。

「しかし……しかし鷹雅、これは好機ではないか」

「なにが」

「佐伯の雪女による心的外傷解消大作戦を決行する時が来たのだ!」

「……あ?」

鷹雅は片眉だけを吊り上げる。

「そうだ、あの雪ん子は半妖、半分は人間なのだぞ! あのときだって、人間なんかに絆された恥さらしの雪女が助けに来なきゃ、山から追い出してやってたんだからよぅ! この頭の恨み、今こそ晴らすのだ、鷹雅!」

息子の肩をぐわしと掴み、唾を飛ばす勢いで捲くし立てる孔雀パパに、鷹雅は面倒くさそうに顔をしかめた。

「別に、近づかなきゃいいだけだろ。面倒くせぇ」

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