オノマトペ
さあっと血の気が引いていくのを感じ、和音の身体を揺さぶった。

「どどど、どうしようお兄ちゃんっ、五所川原君がゆーかいされちゃったようっ……」

半泣きで兄たちを起こそうとしていると、テントの中をさっと光が走っていった。

その光にびくりと肩を揺らし、恐る恐る顔を上げる。まだ夜中のはずなのに、テントの外がほの明るくなっていた。

「な、なんだろう、お兄ちゃん怖い、お兄ちゃん、起きて……おき……おきてっ……ふえっ……いやああぁあぁあんっおぎでえぇえぇえっっ」

恐怖のあまり、身体は震えるし、ぶわあっと涙が溢れてくる。

和音の顔に威力まったくなしのグーパンチ連打を見舞いながら泣き叫んでいると。

『花音ちゃん、花音ちゃん、シーッ、静かに。みんな起きちゃうよ』

聞き慣れない少年の声がテントの外から聞こえてきた。

けれども、花音は泣くのを止めて振り返った。

「……五所川原君?」

そうだ、この声はいつも抱っこして歩いているウサギの五所川原だ。

しゃべっている声など聞いたことがないけれど、花音には分かった。

『花音ちゃん、お兄ちゃんたちを起こさないように、そーっと出ておいで』

「うん……?」

花音はごしごしと目を擦って涙を拭うと、二人の兄を起こさないよう、そっとテントを抜け出した。

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