オノマトペ
夜中、屋敷に響き渡った妹の叫び声に、兄たちは飛び起きる。

「花音!?」

ドアを蹴破る勢いで、木刀を持った拓斗が花音の部屋に飛び込む。

「曲者かいっ?」

続いて、ストラディバリウスを肩に担いで和音が飛び込んできた。

頭に被った三角帽子のボンボンをぽよぽよ揺らしながら部屋の中を見回すも、特に怪しい影は見当たらない。

ただ、ぬいぐるみやレースだらけのファンシーな部屋の隅に置かれたベッドの上で、五所川原を抱きながらえぐえぐと泣いている妹がいた。

拓斗はほっと一息ついて構えていた木刀を下ろし、和音もストラディバリウスを肩から下ろした。

「……花音、どうしたんだい?」

泣きじゃくる妹の頭にぽん、と手を置き、和音が訊ねる。

「お、おにいちゃ、ひくっ、はこ、箱が、踊って、黒酢で、へいよぅ……ううわああああんっ」

「意味が分からないんだけど……」

拓斗は困ったように笑う。

「ふーむ、怖い夢でも見たのかな。ならば、兄が穏やかに眠れるララバイでも奏でてあげよう」

そう言い、和音はストラディバリウスで穏やかな旋律を紡ぎ、それに合わせて歌いだした。

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