桜花舞うとき、きみを想う
「どこへ行くの」
ときみが訊く。
「ね、改まったお話なの」
ぼくは何も答えず、ひたすらに歩いた。
「ねえ、礼二さんったら」
行き先を決めていたわけではなかった。
ただ、自然に足が向いていた。
長い石段を上がって、神社に入る。
きみの足音も後ろから聞こえていた。
砂利を踏みしめて、境内の中央で立ち止まると、ぼくは息を呑んだ。
心臓が口から飛び出しそうなほど緊張していた。
頭に父の顔が浮かんで、もう後戻りはできないと意を決して、ぼくは振り向いた。