桜花舞うとき、きみを想う
きみは何か思い詰めている様子で、空気がぴんと張った。
ぼくはますます弱った。
きみの不機嫌の理由がわからない。
「アヤちゃん、ぼくは…」
「やめて!聞きたくないの」
とうとうきみは、顔を真っ赤にして泣き出してしまった。
まるで駄々っ子のようだった。
一体どうしたというのだろう。
ぼくには、きみがこんな風になる心当たりなんてひとつもなかった。
「大事な話なんだよ、きちんと聞いて欲しいんだ」
ぼくはきみの肩に手を乗せ、潤んだ目をした顔を正面から覗き込んだ。
そして、白い頬を伝う涙を指で拭った。