桜花舞うとき、きみを想う
「あっはははは!」
突然大きな笑い声をあげたぼくに驚いて、君は潤んだ目を大きく開いた。
「な、何がおかしいの。ひどいわ、わたし真剣なのに!」
「だってアヤちゃん。きみは馬鹿だな、勘違いしているよ」
「勘違いなんてしていないわ。だって言ったでしょう、本当は喜ばなくちゃいけないってわかってるって」
「そこさ!きみ、ぼくに召集令状が来たと思ったんだろう」
ぼくがからかうように言うと、きみはますます目を丸くした。
「違うの?」
ぼくは、そんなきみが言いようもなく愛おしくなって、そっと頬に触れた。
「違うよ。そうじゃない、そうじゃないんだ」
新しい涙が、ぼくの手を濡らした。
「不安にさせてごめんよ。ぼくが悪かったね」
そしてぼくは、改めて深呼吸をした。