桜花舞うとき、きみを想う


「さあ、休んでいる暇はないぞ。昼食の準備だ」

宮崎さんが手を叩いて、それを合図に、ぼくも、そして固まっていた仲間たちも動き出した。

いつもと変わらないような、それでいて緊張感に満ちた作業風景だった。

ただひとり、居場所を失った磯貝さんだけが、異質な存在として烹炊所で立ちすくんでいた。

そこへ宮崎さんが追い討ちをかけるように、

「磯貝っ、医務室へ戻れと言ってるんだ。もたもたするなっ」

と、磯貝さんの腕を掴んだ。

磯貝さんはその勢いに反応できず、どすんと音を立て倒れた。

「磯貝さんっ」

慌てて駆けつけ、体を起こそうとすると、すかさず宮崎さんに怒鳴りつけられた。

「磯貝に構うな!お前は自分の仕事をやれっ」

「でも……」

立てない磯貝さんをなお支えようとしたぼくを、宮崎さんが力尽くで押しのけた。



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