桜花舞うとき、きみを想う
しんと静まり返った室内で、宮崎さんの体から熱気が伝わってくる気がした。
今、ぼくの肩に体を寄せているこの人は、一体宮崎さんに何を言ったのだろう。
ぼくに優しくしてくれるその裏で、何を考えているのだろう。
立ち止まっていた磯貝さんが、ふいに足を動かした。
ぼくも、巨体を支える足腰に力を込めて、再び歩き出した。
そこへ、
「中園ひとりでは大変だろう。おれも行こう」
深呼吸を繰り返し、いくぶん落ち着きを取り戻した宮崎さんが、そう申し出てくれた。
けれど、それを聞いた磯貝さんの体にますます力が入り、それはきっと宮崎さんの同行を拒絶しているのだと察したぼくは、その申し出を断った。
磯貝さんの本心がどんなものであっても、今すべきことは、早く医務室で休ませることだ。
「医務室に送り届けたら、すぐに戻ります」
なるべく痛くなさそうな部位を支え、ぼくはゆっくりとした足取りの磯貝さんに合わせて烹炊所を出た。